千利休のふるさとである堺市はかつて貿易で栄え、技術の発信地でもあり大変歴史の深い街です。 そんな堺には、茶の湯の世界に欠かせない老舗の和菓子屋が、路面電車の走る沿線沿いにた〜くさん存在しています。
今回の記事は『和菓子』や『茶の湯』が好きな方に特におすすめ! 路面電車の各駅ごとにある和菓子屋や、人気の施設をご紹介しています。 のんびり路面電車にゆられ、千利休の歴史を感じる和菓子旅に出かけてみるのはいかがでしょうか。
阪堺線 路面電車に乗車し、「天王寺」〜「浜寺駅前」方面で紹介しています。(各駅は徒歩で移動できる所もありますが、駅ごとにまとめています!)
阪堺線 路面電車に乗って、和菓子と茶の湯を巡る旅にでよう!
花田口駅 【青木松風庵 ザビエル公園店】
天王寺方面から路面電車にゆられ花田口駅で下車し、徒歩3分程で「青木松風庵」にやってきました。 こちらには大人気の『月化粧』があります。
新大阪のお土産コーナーでも目にすることが多く、お月様のように丸くてミルキーなこしあんが味わえる和菓子は、子供から大人まで喜ばれる大人気商品です。 堺市の緑ヶ丘にある本店では「朝焼きみかさ」を下さったり、季節の生菓子の他にプリンなどの洋菓子も販売される、お菓子の種類が豊富なお店です。
こちらはザビエル店。 かつてフランシスコ・ザビエルが堺に立ち寄った際、手厚くもてなした豪商 日比屋了慶の屋敷跡につくった公園があり、現在はザビエル公園と命名され、地元の方に親しまれています。
大小路駅 【丸市菓子舗】
大小路駅から徒歩4分。 明治28年に創業された「丸市菓子舗」では、千利休にちなんだ銘菓がたくさん作られています。
利休が愛用した実印・認印を写した「利休古印」。 利休が魚屋で茶碗を見つけたことに由来し「斗々屋茶碗」と名付け、実物大のお饅頭を作られています。 斗々屋茶碗は、利休から古田織部、小堀遠州など著名な茶人が代々所有したと言われる貴重なものです。
季節の生菓子も常時販売され、遊び心あふれる和菓子がたくさんあります。 いつ来ても季節感があり、昔ながらの和菓子店の雰囲気を感じる丸市菓子舗さんは、茶道好きな方にもとてもオススメなお店です。
宿院駅
【本家小嶋】
宿院駅周辺は堺の中心地でもあり、見どころが満載です。
まずは『本家小嶋』さん。 創業1532年、4世紀に渡り伝統の味を伝えています。
南蛮貿易により入ってきた「芥子の実」を使用し作られた「けし餅」は、本家小島の看板商品であり、堺市でも有名な和菓子です。 千利休が愛したことで、広く知れ渡り今も銘菓として伝えられています。
丹念に練り上げた餡、きめ細かなお餅、プチプチの食感を楽しめる芥子の実を味わえる、こちらのけし餅は絶品です。
【河合堂】
本家小嶋さんから、歩いて3分のところにある「河合堂」さんにやってきました。 こちらには堺の菓子名人達(12社)が協同で研究開発した「堺燈台もなか」が販売されています。
この和菓子のモチーフになっている「旧堺燈台」は、明治10年に建設された木造洋式燈台であり、日本最古の灯台のひとつです。
最高級の小豆をふんだんに使用されたつぶあんは、一口食べると「何かが違う!」と思わせる美味しさと、和菓子ならではの素朴さを兼ねそなえています。
〜さかい利晶の杜〜
宿院駅周辺に来られた方には、是非寄ってほしい場所があります。 こちらの「さかい利晶の杜」です!
堺出身の千利休と与謝野晶子の記念館であり、堺の特色ある歴史文化を広く発信する文化観光施設となっています。
千利休と安土桃山時代の堺・与謝野晶子と明治大正時代の堺、どちらの歴史も同時に見ることができる利晶の杜では、館内に茶道具の展示や、千利休作で唯一現存する茶室「待庵」を復元した『さかい待庵』があり、茶室の観覧もできます。
茶の湯体験施設も併設されており、茶道が好きな方や初めての方にも、ゆっくりと茶の湯の世界を体感してもらうことができる、体験型ミュージアムです。
〜千利休屋敷跡地〜
千利休屋敷跡 椿の井戸・井戸屋形
さかい利晶の杜のすぐ向かいに『千利休屋敷跡』があり、自由に拝見することができるようになっています。
千利休は今市市(現在の宿院)にうまれ、天下一の茶人となりました。織田信長や豊臣秀吉の茶頭として仕えていましたが、京都にある大徳寺の山門に銅像を建てたことにより、秀吉の怒りにふれ自害したと言われています。
屋敷跡には椿の井戸があり、実際に千利休が使用し、椿の炭を底に沈めていたそうです。 井戸屋形は利休ゆかりの大徳寺山門の古い部材を用いて建てたもの。
宿院駅周辺は特に、千利休を感じられる歴史的建造物が多いエリアになっています。
寺地町駅
【かん袋】
先程の利晶の杜からも歩いて10分の距離に、創業年数700年の「かん袋」があります。
日本の和菓子創業年数 第5位の名物和菓子は「くるみ餅」! やわらかい餅を、抹茶や白インゲンを合わせて作られた濃厚餡でまとった和菓子で、これがとにかく大人気!
700年の時代を経ても変わらぬくるみ餅は、人生で一度食べてみてほしいと思うほど。
店名はあの豊臣秀吉が名付けたとか!!とにかく歴史が深すぎる堺の銘菓を是非、ご賞味ください。
【大寺餅河合堂】
寺地町駅より徒歩7分。線路を挟んで、かん袋と反対の通りになりますが、こちらの「大寺餅河合堂」も400年の歴史があります。 名物のあんころ餅ときなこ餅が、驚くほど柔らかいお餅で、個人的には今まで食べたあんころ餅の中で一番好きかもしれません。
堺市出身の与謝野晶子も、この大寺餅を愛していたそう。堺に来られた際には、ぜひ立ち寄ってみてほしい和菓子屋さんです。
〜銀シャリ屋 ゲコ亭〜
堺には茶の湯の歴史だけではなく、飯炊き仙人がいると有名です!
日本一の飯炊き仙人がいる「ゲコ亭」の白ごはんと、好きなおかずを選んだ定食を食べられる大衆食堂のようなお食事処はとても人気。
夜の営業はありませんが、開店前から行列ができるほどで、こちらもおすすめしたい場所です。
御陵前駅
【南曜堂もなか】
御陵前駅より徒歩4分。 100年の歴史をもつ老舗の最中専門店です。
ショーケースの中にはさまざまな形をした最中がずら〜と並び、見ているだけで楽しくなります! 最中に入ったあんこがおいしくて、おもち入りのものもあります。
ちんちん電車を模した最中があり、その見た目からも堺の歴史を感じられ、最中の奥深さにハマってしまいそうな最中専門店も魅力的なお店です。
〜南宗寺〜
南曜堂もなかより歩いて5分、千利休が修行をした『南宗寺』があります。 臨済宗大徳寺派の寺院です。
南宗寺は大徳寺の住職 古嶽宗亘が、堺の一小院を南宗庵と改称したのが始まりです。
織田信長よりも二十数年前に堺を拠点に、畿内などを治め天下統一したのが三好一族で、境内には三好一族の供養塔があります。 また戦国時代、堺の豪商であった茶人 武野紹鴎も修行していたと言われています。 茶の湯を大成させるにいたった茶人たちとの関わりも大変深く、境内には千利休一門の供養塔もあります。
それらの供養塔の拝観には料金がかかりますが、利休好みの茶室「実相庵」や「椿の井戸」、大坂夏の陣で討ち死にした「徳川家康の伝説の墓」もあり、まるで戦国時代の歴史を垣間見るかのような異世界が広がっています。
御陵前駅周辺に来られた方には、四季折々の禅寺を見られる南宗寺もぜひおすすめしたい場所です。
いかがでしたでしょうか。 堺の和菓子屋を7店舗ご紹介させていただきました。
路面電車の走る堺の街には、老舗の和菓子や、茶の湯を大成した千利休、与謝野晶子など偉人たちの生涯を感じられる、歴史が詰まった魅力あふれる町です。
全て周り切れない・・という方には、個人的に堺の和菓子 第一位のかん袋の「くるみ餅」は絶対に食べて頂きたいです♪
かん袋から宿院駅周辺まで徒歩でも近いですし「さかい利晶の杜」「千利休屋敷跡」もオススメです。「南宗寺」の中まで拝観すると、茶道の歴史をじっくり味わうことができますよ!
和菓子がだいすきな方・茶の湯の世界に興味のある方、当時の歴史をたっぷり堪能できる堺の町を、のんびり旅してみるのはいかがでしょうか〜!!
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