もみじが色づき始めた秋の京都。街なかを歩くだけでも魅力的ですが、数年前から食べたかった秋限定『出町ふたばの栗餅』をお目当てにやってきました。
さらに年に一度、開かれる『手のひらの自然 京菓子展』は見逃せない! 京都の和菓子がおりなす芸術的世界をじっくりと見て回れる展示会は、京都や和菓子好きな方たちをきっと感動させてくれると思います。
時間が許すならどこへでも行きたい、和菓子好きな私が2つの願いを叶えるべく、秋の京都で和菓子をたっぷり堪能する旅に出てみました。
出町ふたば
大阪の天王寺方面から、京都旅気分を味わうべく京阪電車に乗車します。
終点「出町柳」駅を下車し、徒歩5分。 まずは念願の栗餅を食べるため『出町ふたば』さんへ向かいます!
鴨川に架かる、河合橋と出町橋を渡ります。 この日は晴天、秋の澄んだ空気と陽をあびてきらめく鴨川を眺めていると、とっても幸せな気持ちになります。
平日の朝10時だというのに既にお客さんで溢れ、その列は時間が経つにつれどんどん伸びていきます。
秋ならではの和菓子もたくあんありますし、豆餅も迷いましたが今回は栗餅を!すぐに食べるため個包装してもらい鴨川デルタへ迎います。
お天気にも恵まれ、鴨川を眺めながら和菓子を食べられるなんて・・
栗餅はきなこがたっぷりかかって、一口食べるときなこの香りとやわらか〜〜いお餅が伸びて、この上ない幸せです! 中の栗とこしあんがまた贅沢で、とっても美味しい!
まるで京都にプライベート空間でもできたような、幸せ過ぎるひとときを過ごしました。
↳更に詳しくblog書きました。
手のひらの自然 京菓子展2021 テーマ「徒然草」
鴨川で栗餅を堪能したあとは、今回の旅の2つ目の目的 「京菓子展」へ行きます。京菓子展は、美しい和菓子作品がずらりと並べられ、じっくりと見て食べて楽しめる展覧会のようなものだと捉えています。
京菓子とは『有職や茶道文化と密接な関わりをもち発展した、世界でも稀に見る芸術的な食べ物』です。 日本の伝統文化や季節感、物語が詰められた和菓子。 手のひらに収まるほどの小さな世界に、大きく心を揺さぶられ、本当に感動します。
この京菓子展は毎年テーマを変えて、2015年より開催されています。 2021年のテーマは『徒然草』。 古典文学について知って頂きたいとの思いも込められています。
会場は4箇所ありますが、今回は2箇所巡ります。
まずは出町ふたばからも徒歩7分、左京区にある「特別会場 旧三井家下鴨別邸」へ向かいます。 歩きながら色づき始めた紅葉を楽しめるのも、秋ならではの楽しみです。
旧三井家下鴨別邸
目的地には、このような看板が出ているのですぐに分かります。
旧三井家下鴨別邸は下鴨神社の南に位置し、三井家11家の共有の別荘として建てられたもので、大正期までに整えられた大規模別邸の屋敷構えが良好に保存された重要文化財です。
こちらの入館料500円・呈茶1000円を購入し、さっそく京菓子展を楽しみます。
今テーマの「徒然草」は、1330年頃 吉田兼好が書いた日本三大随筆のひとつ。
日本三大随想と聞くと難しそうに感じますが現代風には、筆者の体験や読書から得た知識をもとに、それに対する感想・思想をまとめたエッセイと言い換えられそうです。
244段ある徒然草の中から1段を参考にし、心を込めてつくられた和菓子たちが展示されています。
暗がりのなか光をあびて、ひとつひとつが主役!と自信をもって挑まれる京菓子たちの美しさ。 実際にこのような和菓子はお目にかかったことも味わったこともないなぁ・・と、食い入るようにして見てしまいます。 旧三井家下鴨別邸での和菓子の展示は16点ありました。
徒然草の1段から考えられるひとつの和菓子には、作者やその段から連想された色合い、形など様々な思いが詰まったものでしょう。
こちらの別邸では1階にある主屋座敷で、大正ガラス越しにお庭を眺めながら作品となった和菓子を実際に頂くことができます。
菓銘『なりひさこ』を選びました。 参考にされた段は第18段です。
なりひさこの別名はひょうたんで、丸みを帯びた形はひょうたんを思い起こさせるようにも感じます。色合いが淡く、求肥と中の白あんがとてもおいしい和菓子でした。
お庭を眺めながら、お抹茶といっしょに、作品を実際にいただけることもステキですよね。
徒然草を詳しく知りませんでしたが、当時のエッセイだと思うと興味を持ちやすいように思います。 また、和菓子と抹茶が大好きな私は、開放的な秋の景色に非日常的な時間を、心から楽しむことができました。
お庭を歩いて回ることもできますよ。
有斐斎 弘道館
つづいては2箇所目、『本会場 有斐斎 弘道館』へ向かいます。 移動の際に見かけた、色づき始めたばかりのイチョウや紅葉にも癒やされます。
旧三井家下鴨別邸から弘道館までは徒歩30分の距離があります。 バスで「河原町今出川」から「上京区総合庁舎前」まで乗車後、徒歩10分で移動が一番ラクだと思います。
弘道館にも看板が出ているのですぐに分かると思います。
有斐斎弘道館とは、江戸時代を代表する儒者・皆川淇園が1806年に創設した学問処で私立大学の先駆とされています。 2009年に数寄屋建築と庭園が取り壊されそうになったところを、企業人らの有志により保存を成し遂げ、現在は京菓子や茶の湯、能楽などに関する多様な講座を開いています。
ひっそりとおごそかで、縦に長い京都らしい建築は、入っても良いと許可されると、どんな風景が広がっているのか気になってドンドン進んでしまう、京都マジックです。笑
入館料は500円、呈茶1000円。 呈茶席でいただける受賞作品を4つの中から先に選び、 「ほころび」にしてみました。
館内は先程よりほどよく薄暗く、徒然草を題材にした京菓子たちが浮かび上がるようで、美術館のようでした。
ずらりと37点の和菓子が展示されている景色は、どこの和菓子屋さんや美術館に行ってもみることのできない、ここだけの特別な光景です。
そのとなりにある畳のスペースにて、自分の好きなタイミングで和菓子とお抹茶をいただけます。
徒然草の第32段を参考にされた「ほころび」。とってもかわいらしく、この場所でいただけることにも来た意味を感じます。
道明寺餡をやさしく葛でくるんだほころびは、とっても美しくて、優しい和菓子でした。
室内から、ちらりとお庭を拝見。紅葉が綺麗ですね。
また来年も京菓子展は開催されると思いますが、京菓子展を年に一度の楽しみにまた来たいと思っています。
2021年の展示期間は10月31日〜11月14日でした。
↳弘道館でのことを詳しく書いています。
今回は秋にしか味わえない、出町ふたばの絶品栗餅。 そして年に1度開催される「手のひらの自然 京菓子展」を巡る旅に出てみました。
普段味わえない魅力的な和菓子の世界、京都や和菓子の歴史、徒然草にもすこ〜しですが思いを馳せられたような気がして勉強にもなりました。
自分の好きなジャンルは更に踏み込むと、気持ちが高揚する違った体験ができるので、その感覚は本当に幸せな瞬間ですよね!!
和菓子や京都に興味がある方には、今回のルートはとてもオススメです。 芸術の秋を味わう京都旅に出てみるのはいかがでしょうか。
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